自然体でいるための“引き算”の美学
ひと足早い初夏の訪れを感じる、シンプルなサマーニットにパリッとしたホワイトコットンの羽織。シルバーで統一したジュエリーを合わせた爽やかなスタイリングが印象的なカイノさん。モデルという仕事柄、さまざまなスタイルを着こなす彼女にとって、自身のファッション観の軸はどこにあるのだろう。
「アパレルショップで働いていた10代から20代前半にかけては、どんなに着心地が悪くてもモードで構築的な洋服を好んで着ていたんです。ピアスもネックレスも指輪も、とにかく足し算で重ね着け。アイメイクもバッチリキメて、自分とは違うキャラクターをつくり上げていました。けれど大学を卒業して、モデルとして本格的に仕事をするようになってからは徐々に削ぎ落とされていって、自分に似合うものを選ぶようになりました。好きなブランドの世界観に自分が合わせるのではなく、あくまで自分主体。モデルの仕事をしていると、何者かにならなくてはいけないというプレッシャーがあります。だからこそ反対に、自分はどんな存在なのかと考えるようになったのかもしれません」