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YOUR TRACES

誰かと過ごして付いた跡、昔はなかった顔のシワ、
心の中にいる大切な人を思い出す時間のように、
リングもまた、静かにあなたを形づくっていく。
痕跡とは、時間を共に過ごしたからこそ見えてくる、愛おしさのしるし。
親密な人やものだからこそ見えてくる
「関係と時間が生む痕跡」を見つめます。

Story01  |  Inner Connection

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多くの層のうちの、ひとつ

Rosemarie Auberson / アーティスト

私たちは、創作するためにひとりの時間を必要としている。けれど、こうした瞬間も、育まれる必要がある。私は「層」というものを信じている。心に浮かぶひとつのイメージ ― 深く濃いネイビーブルーとアイボリーの色合わせ、ポルトガルの砂漠の風景、私たちが観た映画のワンシーン、ひとつの文章 ― そうした連続する層は、いつか作品の中に再び現れるだろう。

私たちはいつも、人々や記憶、ものとつながっている。私は表紙のテキストに惹かれて、本を一冊買った。そこにも、「層」という考え方に通じる意味があるのかもしれない。それは、フランスの哲学者 ジル・ドゥルーズが80年代に行った講義に基づく本だ。フランス語のタイトルを訳すと、『生命の線について(Sur les lignes de vie)』となるだろうか。裏表紙には、私がそれを買う決め手になった一文があった。
「ドゥルーズは、私たちの人生が異なる線に沿って展開していく様子を示している。私たちを区切り、境界を作る硬い線、大きな挫折や小さな気づきによって刻まれ、私たちを変えていくしなやかな線、そして私たちの存在をより豊かにする、創造的で制約から解き放たれる線…」
私は層を重ねながら絵を描く。描いては塗り直し、消し、さらに塗り直す。それは時間だ。層の中に封じ込められた時間でもある。物事をあまり固定しすぎないための方法でもある。なぜなら、すべてがあまり明白でないほうが、より興味深く感じられるからだ。すでに世界には、あまりにも多くの「イメージ」が存在しているのだから。
ほとんど何も見えないように思える一枚の絵が好きだ。それは、数ある層のひとつであり、数ある瞬間のひとつにすぎない。

私たちは、創作するためにひとりの時間を必要としている。けれど、こうした瞬間も、育まれる必要がある。私は「層」というものを信じている。心に浮かぶひとつのイメージ ― 深く濃いネイビーブルーとアイボリーの色合わせ、ポルトガルの砂漠の風景、私たちが観た映画のワンシーン、ひとつの文章 ― そうした連続する層は、いつか作品の中に再び現れるだろう。
私たちはいつも、人々や記憶、ものとつながっている。
私は表紙のテキストに惹かれて、本を一冊買った。そこにも、「層」という考え方に通じる意味があるのかもしれない。それは、フランスの哲学者 ジル・ドゥルーズが80年代に行った講義に基づく本だ。フランス語のタイトルを訳すと、『生命の線について(Sur les lignes de vie)』となるだろうか。裏表紙には、私がそれを買う

決め手になった一文があった。
「ドゥルーズは、私たちの人生が異なる線に沿って展開していく様子を示している。私たちを区切り、境界を作る硬い線、大きな挫折や小さな気づきによって刻まれ、私たちを変えていくしなやかな線、そして私たちの存在をより豊かにする、創造的で制約から解き放たれる線…」
私は層を重ねながら絵を描く。描いては塗り直し、消し、さらに塗り直す。それは時間だ。層の中に封じ込められた時間でもある。物事をあまり固定しすぎないための方法でもある。なぜなら、すべてがあまり明白でないほうが、より興味深く感じられるからだ。すでに世界には、あまりにも多くの「イメージ」が存在しているのだから。
ほとんど何も見えないように思える一枚の絵が好きだ。それは、数ある層のひとつであり、数ある瞬間のひとつにすぎない。

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Story02  |  Married Life

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新環境システム

山野アンダーソン陽子 / ガラス作家

いつも長期出張がある度に夫に植物の世話を頼んでいた。けれども、出張前に植物の写真付きで「水やりスケジュール」を作って託しても、出張中にメールで「水やりお願い!」とメッセージを送っても、なぜか夫は水をあげ忘れる。全く悪びれた様子もなく。
20年近く育てていた白い胡蝶蘭の株がどんどん小さくなってついに枯れてしまった時、夫に水やりを頼むことをそっとやめて、近所に住む夫の飲み友達にこっそり水やりを託すことにした。
家にその友達が来たら、夫が友達にビールを渡し、ビール片手に友達が私の植物に水をあげている情景を想像する。そして私は、植物も友達の喉をも潤う循環システムを開発した発明家気分で満足感でいっぱいになっている。

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Story03  |  Interacting People

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時に宿る建築

Niimori Jamison / 建築家

日本とオーストラリアという離れた場所で、考え方の異なる私たちは、記憶と視点を交換しながら建築を考えている。理性と感覚、構造と情緒を行き来しながら、「時に宿る建築」を目指して。
私たちの会話では、よく「モデスティ」という言葉が出てくる。謙虚につくられた空間にのみ内在する余白。そこに人が介入すると、想像を越える解釈や行為が生まれることがある。人々が自らの時間を、時として無意識に刻むことで、重ねられ

た記憶や物の意味が、長い時間を経て静かに建築に、そして街に浮かび上がっていく。
過去のものを継承し、新たな歴史を紡ぐこと。それは、過去と未来の中立点に立ち、思想や記憶を別のかたちで受け渡していくことでもある。私たちの関係の中から生まれた建築は、また異なる場所の、私たちとは遠く離れた関係の中で受け継がれていくかもしれない。私たちがいなくなった後も。

日本とオーストラリアという離れた場所で、考え方の異なる私たちは、記憶と視点を交換しながら建築を考えている。理性と感覚、構造と情緒を行き来しながら、「時に宿る建築」を目指して。
私たちの会話では、よく「モデスティ」という言葉が出てくる。謙虚につくられた空間にのみ内在する余白。そこに人が介入すると、想像を越える解釈や行為が生まれることがある。人々が自らの時間を、時として無意識に刻むことで、重ねられた記憶や物の意味が、長い時間を経て静かに建築に、そして街に浮かび上がっていく。
過去のものを継承し、新たな歴史を紡ぐこと。それは、過去と未来の中立点に立ち、思想や記憶を別のかたちで受け渡していくことでもある。私たちの関係の中から生まれた建築は、また異なる場所の、私たちとは遠く離れた関係の中で受け継がれていくかもしれない。私たちがいなくなった後も。

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