韓国出身のフォトグラファー、イ・ジュンソさんがビジュアル撮影を担当したSummer 2025 Collection。ルックブックでは、好奇心のままに風を感じたり、葉や水に触れたり。自分と向き合い、一息つく夏の瞬間を描いています。今に至るきっかけとなった写真との出会いや、撮影の思い出。さらには、このスペシャルインタビューのために新たに撮り下ろした写真とジュエリーの関係性についても話を聞きました。
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まずはじめに、写真との出会いについて教えてください。
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私は韓国に生まれ、中学生の時にアメリカへ移住しました。そこではじめて、その土地での経験や感情を記録したいと思い、写真を撮るようになりました。最初は記録を目的として撮っていましたが、時間が経ってから見返したときに、そこで過ごした幸せな記憶がよみがえるような感覚があることに気づきました。
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「自分らしい」と思う写真とはどのようなものでしょうか。
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数十年経った後に見返しても、自分自身がまた撮りたいと思えるものかどうかは大切にしているかもしれません。ライフスタイルの延長線上にある、綺麗だと思うもの、自然な写真をいつも撮っていたいです。


Water Markコレクションはその名のとおり、水を象ったようなフォルム。ジュエリーの輪郭が拡張し、凍ったり雫のように滴るようなイメージに落とし込まれている。
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ルックブックの撮影現場では、フィルムカメラも使っていましたね。
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被写体を見て、ファインダーを覗き、シャッターを切る。できるだけ自然の流れに任せたいとき、フィルムカメラを使うことが多いです。撮影日はとても気持ちの良い天気で、僕自身リラックスできました。そういった現場の空気感を活かしたい時もフィルムを使って撮っていると思います。
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日常や旅先でカメラを向けたくなる瞬間に近い感覚でしょうか?
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そうですね。自分自身に新たな気づきをもたらせてくれたり、意図していなかったものを映し出せる気がします。

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写真とはどのようなものだと感じていますか?
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ただ一瞬を切り取るものではなくて、過去・現在・未来を語る「メディア」だと思っています。写真を見る人の経験によっても、イメージや解釈は変わってきますよね。なので状況や意図を思いどおりに描きたい時は、コントロールがしやすいデジタルカメラを使います。
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ルックブックの中で、思い入れのある写真はありますか?
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モデルさんの髪の毛に草や花がついている写真は、まさに意図せず生まれたシチュエーション。自分の感覚のままに撮ることができました。
もうひとつは、空を背景に風を感じているカット。削ぎ落とされたイメージの中で、このような綺麗な写真が撮れたのは私にとって発見でした。


イさんが思い入れがあると話す、夏のルックブックからの2枚。
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この夏のテーマをどのように捉えましたか?
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eteが掲げる夏のテーマ「through me,」から「自分」というキーワードが出てきました。自分とは人間であり自然の一部ということから、自然とのつながりや調和を表現したいと思いました。

韓国の伝統的な紙である韓紙を用いた写真。相反する素材がお互いを引き立て合う。
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韓紙(ハンジ)を用いた写真にもそのような意図があるのでしょうか?
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韓紙は韓国の伝統的な紙漉き紙で、草花が混ぜられた自然から生まれたもの。この紙はインテリアとして使われたり、用途によって姿を変えて、新しい表情を見せてくれます。そんな自然な変化のあり方に今回のSummer Collectionのジュエリーとの共通点を感じました。
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ジュエリーとの共通点とはどういった部分でしょうか?
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私にとってジュエリーとは、単なるファッションアイテムではなく、「身につける人に意味を持たせてくれる存在」だと思っています。初めて着けた日から、日々を共にする中で、その人のイメージと自然に調和していくもの。永く大切にする中で、その人の個性や生き方に馴染んでいくもの。
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最後にeteのイメージについて、聞かせてください。
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京都旅行の際に大丸京都店に遊びに行ったのですが、eteの存在やジュエリーを通してファッションと繋がることができるブランドだと感じました。私も自分の写真を通して、ファッションに興味を持ったり、好きになってもらえるようなイメージを作りたいと思っているので、とても共感する部分です。
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eteはトレンドを意識したファッションジュエリーとして、ひとさじの遊び心を添えて展開をしているので、そのように受け取ってもらえて嬉しいです。
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店頭での丁寧な接客や、たくさんのコレクションが並んでいる様子からもそう感じました。個々の気分と様々なスタイルに寄り添う、幅の広さやお客様との親近感のある距離が魅力的だと思います。なので、とても共感する部分です。
Profile
Lee Junseo | イ・ジュンソ
1994年韓国生まれ。中学生の時にアメリカへ移り住む。アメリカ生活の中で出会う感情や自身の経験を「写真」を通して表現するようになる。高校生では中国・上海に移り、中国の文化にふれながら独自の視点を磨く。2024年には、写真とカメラ文化の根付く日本・東京へ行くことを決意し、現在では東京を拠点に活動している。